桃色ひとつ　もうひとつ

黄色はふたつ　きれいねと

お手てのひらで　見つめたお菓子

いろはにほへと　こんぺいとう

緑はみっつの　みいちゃんと

真白なよっつの　まりちゃんと

遊んでいたね　仲良しこよし

いろはにほへと　こんぺいとう

漆の小箱のなかにはひとひらの木の葉

そっと掬った　幼い日の思い出は

虹のよに鮮やかで

桃色ひとつ　もうひとつ

黄色はふたつ　きれいねと

お手てのひらは　皺だらけです

いろはにほへと　こんぺいとう

青色いつつ青い春　

紫むっつで胸おどる

恋した彼と　分け合うお菓子

いろはにほへと　こんぺいとう

縁側に座る貴方と　お砂糖の香り

きっと結んだ　浴衣帯の面影も

虹のよに消えてゆく

青色いつつ青い春　

紫むっつで胸おどる

恋した彼も　老いぼれてます

いろはにほへと　こんぺいとう

色は匂へど　散りぬるを

私ももうすぐ　散るけれど

時を知らない　小さなお菓子

いろはにほへと　こんぺいとう

いつまでもきれいでね